【検査説明】

当院では、低侵襲治療法として、血管撮影法で用いるカテーテルを使ったlVR(Interventional Radiology)と呼ばれる血管内検査・治療法を行っています。 この検査は、X線透視や超音波像、CT画像などを見ながら体内に細い管(カテーテルや針)を入れて行います。 造影剤を用いてリアルタイムで血管像を描出する事ができ、血管の異常や血流の豊富な病変等を見るのに適します。 手術を必要としないため、身体に与える負担が少なく、病気の場所だけを正確に治療でき、入院期間も短縮できるなど優れた特徴を持っています。


【装置説明】


・X線血管撮影室対応




バイプレーン型X線診断装置


使用装置として、バイプレーン型循環器系X線診断装置としてPHILIPSエレクトロニクス ジャパン製 Allura Clarity FD10/10とバイプレーン型多目的X線診断装置 PHILIPSエレクトロニクス ジャパン製 Allura Clarity FD20/10の2台を導入しております。 この装置は、50%の被曝低減が可能でありStent強調撮影などの特殊機能が装備されております。



・手術室対応




ハイブリッド手術室対応全身血管造影診断装置


手術室には、ハイブリッド手術室対応全身血管造影診断装置として PHILIPSエレクトロニクス ジャパン製 Hybrid OR System Allura Xper FD20ORを使用しております。このシステムは、手術室に血管撮影装置が配備されており、様々な症例に対して外科手術・血管内治療・あるいは両方組み合わせるなどの治療法が可能で、大動脈ステント術や術中脳血管撮影などに適応されております。また、寝台はMaquet社のMagnusテーブルを使用しており、血管撮影装置との連動が可能となります。装置自体も四隅に移動可能であり、手術の様々な環境に対応できます。






頭・頚部血管造影をし、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、動脈閉塞、動脈狭窄などの検索と治療(脳血管内手術)などを行います。その他、頚動脈ステント留置術(CAS)も行っております。


左内頚動脈正面像           左内頚動脈側面像






対象となる疾患は、肝臓・膀胱・子宮などの腫瘍性病変および血管性病変、下肢の閉塞性動脈硬化症、動静脈奇形など多岐に渡っています。 血管撮影の他に、腫瘍部位への栄養血管を塞栓する血管塞栓術(TAE)や、カテーテルによる腫瘍部位への抗腫瘍剤の動注、下肢動脈等の動脈硬化症の血管形成術、深部静脈血栓症による肺塞栓症の予防として下大静脈フィルター留置術等も行われています。また、化学療法の為の動注リザーバー留置術、中心静脈(心臓近くの太い静脈)へ高カロリー栄養剤や抗がん剤を注入する為の静脈ポートの挿入も行っております。疾患によっては手術と同等の治療効果が得られることがあります。


更に、シャントPTA(経皮的血管形成術)も行っております。シャントとは、血液透析を行う為に静脈を動脈に縫い合わせて繋ぐことにより、動脈血を直接静脈に流す手術です。シャント血管は、流速の早い大量の血液が長期に流れることによる血管壁の障害や、日々の透析での穿刺・止血の繰り返しにより、狭くなったりつまったりします。シャント造影検査を行い、シャント血管の狭くなったり、詰まったりした部分に、バルーンカテーテル(カテーテルの先端に小さな風船がついたもの)を使って内側から圧力をかけ、拡張を行います。PTAを施行することによって、使用しているシャントを長持ちさせることができます。






心臓カテーテル検査は、鼠径部、肘、手首などから血管内にカテーテルと呼ばれる細い管を入れその先端を冠動脈の入り口まで進め,造影剤を流してX線で冠動脈の写真を動画像で撮影する検査です。冠動脈の造影(CAG)を行い、治療が必要となった場合には、経皮経管的冠状動脈内血栓溶解療法(PTCR)やバルーン・ステントなどを用いて閉塞又は狭窄した血管内腔を拡大する経皮経管的冠状動脈血管形成術(PTCA)があります。その他、大動脈バルーンパンピング、左右冠動脈造影におけるアセチルコリンテスト、大動脈解離性動脈瘤のDSA撮影等が行われています。その他、左心室の造影検査(左心室の最大容積と最小容積を求めることにより心機能の評価(LV解析)をする)、右心カテ(スワンガンズカテーテルを用いて、直接右心室、肺動脈などの電位を測ったりする検査)を行います。さらに、ペースメーカ・ICD・CRTD埋め込みやテンポラリー挿入も行っております。



左冠動脈‐RAO30°            右冠動脈‐LAO50°