星総合病院心臓病センター
心臓CTについて



エックス線CTとは…
CT(Computed Tomography)はコンピュータ断層撮影と訳され、その名の通りコンピュータを使用して体の断面像を得る撮影法です。 当院で使用しているCTは、多列検出器型エックス線CT 装置(マルチスライスCT)です。従来機(ヘリカルCT)は一つの検出器で信号を受けて画像を作成していましたが、当院のマルチスライスCTは複数の検出器で一度に信号を受け取るため、撮影時間を短くすることができ、長い呼吸停止をして頂くことなく撮影が出来るようになりました。また、体の厚さによって被曝線量を低減させるシステムを備えているため、無駄な被曝を抑え安心して検査を受けて頂けます。
心臓CTとは…
心電図により心臓の動きを捉え、造影剤を用いて心臓の筋肉を栄養している冠動脈の形態や、石灰化の有無、血流などの評価、および、心機能解析などが評価できます。


AquilionTM 16にて撮影
心臓CTにかかる時間は15分程度で、撮影実時間は1回15-30秒程度です。

心臓は横隔膜の上にあります。そのため、息を吸うと横隔膜と一緒に下にさがり、息を吐くと横隔膜と一緒に上に上がります。
しっかり息を止めて検査しないとせっかくの写真がピンボケになってしまいます。

検査までの待ち時間に時計を見ながら30秒間、息を止める練習をしましょう。

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●体の中をより詳しく調べるため、造影剤を使って検査をします。
●造影剤を注射した時、体が熱くなったり冷たく感じたりすることがあります。
●造影剤は尿として排泄されますので、検査後はなるべく水分(お茶・水・ジュースなど)を多めに取り、早めに排泄されるようにしましょう。
●造影剤注射後、体の痛み・吐き気・息苦しさ・発疹・かゆみ等の症状があった場合は早めにお申し出ください。
●造影剤は希に副作用を生じることがあり、以前に造影剤を使った検査を行った際に副作用があった場合やアレルギー体質の方には造影検査を受けることができない場合があります。検査の際、当院では十分に注意し準備や対策もしておりますが、検査前の問診等以外でお気づきの点がありましたら、担当医もしくは検査担当者にお申し出ください。
●希に検査終了後から数時間後に副作用の様な症状(体の痛み・吐き気・息苦しさ・発疹・かゆみ等)がある場合がありますので、その時は早めに当院へ御連絡ください。


心臓CTでわかることとは

心臓CTでは今まで心臓カテーテル検査でしか分らなかった冠動脈の走行や狭窄などが分ります。
心臓カテーテル検査は体の中にカテーテルと呼ばれるプラスチックの管を動脈という血管に沿って入れていきます。それを冠動脈と呼ばれる心臓の筋肉を栄養する血管にまで入れていき造影剤と呼ばれるお薬を入れて血管が細くなっているかどうかを診る検査です。
心臓CTではカテーテルを使わずに点滴にて造影剤を入れて冠動脈が細くなっているかを診る検査です。
大きな違いは体の中にカテーテルを入れるか入れないかです。心臓カテーテル検査は現在、全国で年間10万人ほどの患者さんに行われている検査ですが合併症として約0.01%の方で脳梗塞や不整脈等で亡くなられることがあります。心臓CTでは体に道具を入れる必要性はありませんので出血の危険性はありませんが検査に使用する造影剤で10万人に1〜2人程度の頻度で体に合わず上記のような副作用が出ることがあります。
共に100%安全な検査ではありませんが体にかける負担はやや心臓CTの方が少ないものと考えます。
心臓CTの欠点も存在します。
1つはしっかり息が止めれないとピンボケした写真になり診断不可能になることがあります。認知症があり息止めの指示に従えないような場合には検査は難しいことがあります。
次に動脈硬化が強すぎる方(腎不全や透析患者さん、甲状腺疾患、ステロイドを使用している患者さんなど)は石灰化が強すぎて血管内が見えないことがあります。こうゆう患者さんはやはりカテーテル検査をしないと分らないことがあります。
造影剤が使えない患者さんには行うことが出来ません。腎不全がある患者さんや造影剤にアレルギーがある患者さんは行うことが難しい検査になります。
あくまでレントゲン検査ですので放射線被爆を受けます。心臓カテーテル検査での被爆と同じく、CT検査でも被爆しますので妊婦さんには検査を推奨できません。
また、頻回に行うことも推奨できません。
あくまで検査ですので治療は出来ません。
以上を踏まえて
心臓CTは外来にて検査をすることが出来ますので各種検査を行った上で心臓カテーテル検査を受けるまでではなく、狭心症等の可能性を否定できない患者にお勧めできる検査と考えます。
              

では実際の画像をみて見ましょう。



正常な冠動脈の患者様
50歳代 男性
糖尿病、高脂血症、高血圧があり動いた時に胸部の不快感があり精査目的にて来院されました。
心電図、レントゲン、心エコー検査では明らかな異常所見はありませんでしたが
胸部症状はっきりしないため心臓CT検査となりました。
(GE社 Lightspeed VCT 64にて撮影)

心臓の栄養血管は動脈硬化もなくきれいな血管でした。
病気ではないのですが、右冠動脈は通常よりもやや小さい血管でした。



動脈硬化のある患者様
 
60歳代 男性
5年前に他県の病院で狭心症にて左回旋枝にステント治療をうけたことがある。
現在は、高血圧、高脂血症があり、かかりつけ医の先生で内服療法されていた。
5年経つので精査希望にて当院へ紹介となりました。
心臓カテーテル検査でつらい思いをしたとのことで御本人は受診したくなかったとのこと。
家族は検査を希望されたため心臓CTにて検査とすることとしました。
ステントで治療したところは問題なしでしたが全体に動脈硬化に伴う石灰化がありました。
左前下行枝に一部細くなったところを認めました。
後日、御本人も納得され経皮的冠動脈形成術を施行となりました。



糖尿病による無症状狭心症の患者様
 
60歳代 男性

2年前に右冠動脈の急性心筋梗塞にて経皮的冠動脈形成術施行。その後、安定し6ヶ月おきに経過を確認しに来院されていました。糖尿病、高脂血症、高血圧があり、最近、糖尿病のコントロールがよくないことは本人も自覚していたが、つきあいで食事量が増えていた。
心電図やレントゲン、心エコーでは異常なし。運動負荷心電図でも自覚症状は問題なしも心電図で若干の変化を認め心臓CT施行とした。
右冠動脈はステントは血液の流れとしては問題なし。左前下行枝の近位部に石灰化を伴う動脈硬化を認めましたが、血流には問題なし。その少し先の左前下行枝と対角枝に狭窄を認めました。
後日、入院していただき経皮的冠動脈形成術施行となりました。



急性心筋梗塞に伴う狭心症の患者様
 
70歳代 男性

6年前に左前下行枝の心筋梗塞があり、以後、内服療法を受けていた患者様です。
食後、胸痛が出現し当院に救急搬送されました。
心電図にて急性心筋梗塞の変化を認め緊急で心臓カテーテル検査を施行され左回旋枝に完全閉塞を認め経皮的冠動脈形成術施行しました。その際、左前下行枝にも狭窄と若干の血流障害を認めました。心臓リハビリ後、安定したところで心臓の筋肉のダメージをみる検査である心筋シンチを施行。急性心筋梗塞時の治療経過もみるために心臓CTも施行しました。
 
左回旋枝は問題ありませんでした。左前下行枝に狭窄を認めました。心筋シンチでも最近の心筋のダメージを認めました。左前下行枝も治療の必要性があるものと判断し左前下行枝に対して経皮的冠動脈形成術施行いたしました。

当院での冠動脈CTスタッフ

心臓病センター循環器 坂本 圭司
星放射線部放射線技師 佐久間 守雄 阿部 裕也 斉藤 弘樹 続橋 順市   
放射線科       星 宏治

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