泌尿器科専門外来

婦人泌尿器科外来

尿もれ・頻尿でお困りではないですか

尿もれ・頻尿・性器脱などのトラブルを抱える女性は実に多くいらっしゃいます。しかし、「恥ずかしい」「どの科にかかったらよいかわからない」「診てもらっても治らないのではないか」などの思いから、受診に至ることは少なく、生活行動範囲を狭くせざるを得ない現状の方を多く聞きます。 そこで当院泌尿器科と産婦人科が協力して婦人泌尿器科の専門外来を設けております.婦人泌尿器科外来では、以下のような症状をお持ちの方が、検査、治療の対象となります。

  • ご自身の意思とは関係なしに尿がもれてしまう
  • 尿がちかい、尿のがまんができない
  • 尿が出にくい
  • 尿路の感染症を繰り返している
  • 子宮脱・膀胱脱などによる外陰部の違和感がある
  • 膣壁の一部が下垂している
 

検査について

婦人泌尿器科では主に以下のような検査を行います。 (初診時および必要があればその後の受診の際、必要な検査を予定させていただきます。)

  • ご自身の意思とは関係なしに尿がもれてしまう
    尿中の蛋白、糖、白血球、細菌などを判定します。約30分から1時間の検査です。

  • ストレステスト
    強い咳をしていただき、尿もれの有無、程度を確認します。

  • パッドテスト
    漏れを確認し、その程度を判定します。結果により、治療法の選択、さらに治療による効果を判定します。 検査方法 検査前に排尿していただき、あらかじめ重量を測定したパッドをあてていただきます。 15分位で、約500ccの水をお飲みいただきます。 病院内を30分程歩いていただきます。(次のような動作をしていただきます) −階段の上り下り2回 −座位からの起立10回 −強い咳10回 −軽いランニング様の足上げ1分間 −床のものを拾う5回 ただし、このような動作はその方のご年齢、もともとの体力、医学的な状況により適宜、変更します。 以上の過程終了後、パッドをはずしていただき、その重量を測定します。 それから、たまった尿を排尿いただき、その際、尿流や排尿量などを確認させていただきます。 この検査は約1時間で終了します。

  • ウロダイナミック検査
    膀胱の収縮時から充満時の内圧を コンピュータにより計測します。 必要があれば、同時に直腸内圧、尿道括約筋電図も記録します。

    ●この検査は以下の方に有用です。

     ・混合型の尿失禁症状をお持ちの方
     ・手術も考慮されている方
     ・これまでの治療が無効であった方
     ・症状が再発した方
     ・手術後の評価として

    ●検査方法

    検査可能な方には、尿道からチューブ、必要があれば直腸にもチューブが入ります。これらのチューブはコンピュータに接続され、内圧をモニターし記録されます。何度か咳や腹圧をかけていただき、圧の変化を観察します。

  • 膣圧計査
    骨盤底筋群の運動を筋電図表示します。筋電位測定により、骨盤底筋の収縮力、持続力、反復力を評価できます。ご希望があれば、骨盤底筋運動の収縮の訓練プログラムを作成することもできます。

  • 超音波検査
    一般にエコーと呼ばれる検査で、膀胱や周辺の状態を調べる検査です。

  • 膀胱造影
    膀胱の頚部(出口部分)、膀胱の底の位置、形状を評価します。立位や弩咳で尿道や膀胱底の動きを観察します。この検査は、手術の適応を判定できます。

  • 排尿記録
    排尿状態を把握するために有用な検査です。治療の効果を見るのにも適しています。 排尿した時刻、排尿量、漏れがあればその時刻、程度などを記載していただきます。

治療について

治療方法は大きく保存治療、手術治療に分けられます。

  • 保存療法

    【行動療法】

    1)生活指導

    体重、運動の程度、喫煙、食事、便通、体位などのポイントをご指導します。

    2)膀胱訓練

    少しずつ排尿間隔を伸ばす方法です。

    3)理学療法

    a.骨盤底筋運動

    骨盤底筋の収縮性を強化します。速筋の収縮力の強化は瞬時の漏れ防止に 効果があります。骨盤底筋の収縮により反射路を介して、排尿筋を抑制する 効果もあります。 適応:比較的軽症の方、手術を希望されない方、妊婦さん、他の治療ができない方 膀胱造影(立位)で、膀胱頚部が安静時に開大しない方

    b.バイオフィードバック訓練

    膣筋電図のモニターを見ながら、骨盤底筋を強化する方法です。 通常は自覚しにくい骨盤底筋の収縮を認知でき、強化訓練を効率的に行えます。

    c.電気・磁気刺激法

    ・干渉低周波療法

    本邦で保険適応が唯一認められています。

    ・磁気刺激法(新しいラインナップです)

    皮膚や骨などを貫いて深部に刺激が到達するため、全く痛みを感じません。
    着衣のままで行えます。尿失禁に対する優れた臨床効果が確認されています。
    今回、当科では治験として無料でのご提供が可能です。


    【薬物療法】

    a.交感神経β受容体刺激剤 b.女性ホルモン剤
    c.ムスカリン受容体抑制剤
    d.三環系抗うつ剤
    e.その他


  • 手術治療

    【尿失禁手術】

    TVT手術

    尿道を特殊なテープで補助し、失禁を止める手術です。当科では年間15例以上行っています。標準的なご入院日数は、わずか4日間です。皮膚の傷は5mm程度が2箇所だけです。5年で80%以上の治癒率と、非常に優れた術式です。 注意を要するのは、80歳以上の方、安静時最大尿道閉鎖圧が低い方です。そのため、術前の検査で、手術の有効性を評価します。

    【性器脱】(子宮脱、膀胱瘤など)手術

    Posterior IVS手術

    特殊なテープで子宮を固定する手術です。当科での標準的なご入院日数は、わずか4日間です。皮膚の傷は5mm程度が2箇所だけです。現時点では治験として、手技料については無料でご提供できます。

    膣壁形成術

    前後膣壁を形成し、膀胱や直腸の下垂を止める手術です。当科での標準的なご入院日数は、わずか4日間です。膣壁全体の脆弱化が強く、重度の脱出の方、側方の支持欠損の方は、再発する傾向があります。これらの方には、メッシュ状のシートを埋え込み、再発を予防する方法もあります。

    ※骨盤底全体の修復が必要な方には、一度に全体の修復も可能です。 膀胱、子宮、尿道いずれも下垂した方、性器脱に潜在的な尿失禁をお持ちの方などが適応となります。子宮を挙上し、前後膣壁を形成、さらに失禁防止も行います。Posterior IVS手術・膣壁形成術・TVT手術などの手術を同時に行っても標準的なご入院日数はわずか4日間です。皮膚の傷は5mm位が4箇所のみです。

  • 婦人泌尿器科でお伝えすべきこと

    骨盤内の治療は、子宮・膣は婦人科、膀胱・尿道は泌尿器科と縦割りの診療になりがちです。しかし、これらの臓器は、筋肉群とそれを被う筋膜やじん帯のネットワークで互いに関連して支持されており、別々に扱うことは難しいとされています。

    たとえば子宮脱ですが、仙骨子宮じん帯および基じん帯の複合体の脆弱性、肛門挙筋収縮不全が主な原因とされます。尿失禁はといえば、肛門挙筋収縮不全が同じように原因の一つとされ、恥骨頚部筋膜の断裂、骨盤側壁から骨盤筋膜腱弓の離断、陰部神経の損傷による外尿道括約筋不全も関わるとされます。さらに、膀胱瘤も、恥骨頚部筋膜の断裂、骨盤側壁から骨盤筋膜腱弓の離断によるとされ、尿失禁とほぼ同一の原因なのです。つまり、骨盤内の障害は、程度の差はあっても、同時に存在することがほとんどなのです。

    そのため、世界的な流れとして、女性の下部尿路や骨盤底の疾患を扱う分野を婦人泌尿器科として両科が協力して治療に当たるべきものとされています。私たちは子宮脱、尿失禁など、主訴によりいずれに受診した患者さんであっても、両科協力の下、治療を行う体制を整えています。

    もし、膀胱、子宮、尿道いずれも下垂し、外陰部違和感、尿失禁で悩まれて来院されたとします。骨盤底全体の修復が必要と判定し、必ず両科の医師が協力し、一度に全体の修復を行います。通常、Posterior IVS手術、膣壁形成術、TVT手術といった低侵襲手術の組み合わせとなります。子宮を挙上し、前後膣壁を形成し、さらに尿失禁防止も同時に行うのです。勿論、子宮や膀胱に悪性疾患など他のご病気のないことも確認します。

    標準的なご入院日数は、わずか4日間で、皮膚の傷も5mm位が4箇所程度で済みます。

腹膜透析外来

お腹を使った透析の方を中心とした外来です。

腎臓の働きが低下し、透析治療はそれを補う治療法です。腹膜透析はそのほとんどがご自宅で、ご自身で(またはご家族が)行うことができます。定期的に来院していただき、お体のチェックを行います。またお困り、ご不明な点などご相談にお答えしています。

失禁外来

尿もれは女性特有の体質や老化による生理現象ではありません。 あなたに合った適切な治療を続ければほとんどの場合治る病気です。

  • 受診日:毎週月曜日 午後2:00より
  • 場所:泌尿器科外来
  • 受診方法:予約制となります(予約は電話か泌尿器科外来窓口で)
  • 予約センター電話番号:0120−33−4895
  • 診療内容:
    ・尿失禁のタイプ判別、検査・治療薬のアドバイス
    ・骨盤低筋体操の指導
    ・失禁用品の紹介
    ・生活指導
 

その他の治療

前立腺癌の治療

前立腺癌には非常に進行のゆっくりとした性格のよいものと、進行の早い性質の悪いものがあります。これを区別する指標にはいくつかあります。 性質のよいものは、おそらくお薬でも、放射線でも、手術でも、その他の治療でも、それほど成績に差はなく治療可能です。ですから、ご自分の生活、考え方などから選択されてよいように思います。 ただし、そ性格の悪いものは、発見時に局所的な浸潤のあることが多く見られます。また、お薬や放射線が効きづらいこともあります。ですから、私たちは根治を目的とした手術がよいと考えています。術式として、がんセンターの先生方にご助力いただき、がんセンターで行われている術式を採用しています。この術式により、前立腺を周囲組織ごと摘出することができます。ですから、たとえ局所に浸潤があったとしても取り残しなく、すべて摘除できる可能性が高いのです。傷は小さく(10cれぞれの治療は、副作用、経済的なご負担、治療時間などまちまちです。十分な説明をお受けください。 m程度です)、術後の尿失禁も軽度で、当科での標準的なご入院日数は10日間程度です。


入院日数について(主な疾患、手術別の標準的な入院期間)

  • 副腎、腎の疾患
    副腎摘除術、腎摘除術、腎部分切除術、腎尿管全摘除術→腹腔鏡手技で標準的な入院日数は10日程度です。

  • 膀胱、前立腺疾患
    経尿道的切除術→標準的な入院日数は7日程度です。
    前立腺全摘除術→標準的な入院日数は10日程度です。
    膀胱全摘除術→尿路変更の種類で変わります。
    間質性膀胱炎(水圧拡張術)→標準的な入院日数は3日程度です。

  • 陰嚢疾患
    陰嚢水腫、停留精巣根治術→標準的な入院日数は5日程度です。

  • 婦人泌尿器科手術
    尿失禁防止術、子宮脱手術、膀胱瘤手術、→標準的な入院日数は4日程度です。

  • 尿路結石
    経尿道的砕石術→標準的な入院日数は5日程度です。