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平成21年1月24日 土曜日 14時〜 仙台国際センター
星総合病院 野水まで メールはここから ![]() 「東北家族性腫瘍研究会」 と明記してください。 |
『第12回 東北家族性腫瘍研究会』 学術集会プログラム・抄録集 ◆平成21年1月 24日(土) 仙台国際センター 14時00分〜16時50分 (13時30分より受付・開場いたします) ◆参加者、演者の方へのお願い ◆参加費は1000円です。 (つりのいらないようお願い申し上げます) ◆PCビュアーを使用しますので、CD あるいは、 フラッシュメモリーにパワーポイントで作成した スライドをいれてお持ち下さい。 スライドは受付で確認させていただきます。 ◆ご自分のパソコンを持参される場合、PCビュアーとの 接続は15ピンコード以外はできませんので注意して下さい。 ◆一般演題は、発表8分、討論5分を予定しています。 ◆教育講演は40分、 ◆特別講演は50分を予定しています。 『14:00〜14:05 開会のあいさつ』 東北家族性腫瘍研究会事務局 野水 整 『14:05〜14:45 一般演題』 座長 武田弘明 (山形大学医学部付属病院光学医療診療部) (1)BRCA2関連家族性乳癌の1家系 星総合病院外科・乳腺外科 片倉真輝帆 (2)腹腔鏡下大腸亜全摘・直腸反転法による回腸嚢肛門管吻合術を 施行した家族性大腸腺腫症3例 岩手医科大学外科 大塚 幸喜 (3)HNPCCの一大家系 東北大学加齢医学研究所癌化学療法研究分野 高橋雅信 『14:50〜15:35 教育講演』 座長 石岡千加史 (東北家族性腫瘍研究会副会長) 「家族性腫瘍診療における遺伝カウンセリングの意義」 お茶の水女子大学大学院准教授 田村智英子 先生 『15:40〜16:40 特別講演』 座長 竹之下誠一 (東北家族性腫瘍研究会会長) 「遺伝性腫瘍の消化管病変と画像データベースの活用」 国立病院機構九州がんセンター院長 牛尾恭輔 先生 『16:40〜16:45 会長あいさつ』 東北家族性腫瘍研究会 会長 竹之下誠一 『16:45 閉会のあいさつ、懇親会の御案内』 事務局 野水 整 学術集会終了後、国際センター内 レストラン「ラフォーレ」にて 懇親会(無料)を開催しますので、是非ご参加ください。 ≪ 抄 録 ≫ ◆一般演題 『BRCA2関連家族性乳癌の1家系』 星総合病院外科・乳腺外科 片倉真輝帆、渡辺洋平、佐久間威之、門馬智之、松嵜正實、 片方直人、渡辺文明、野水 整 星総合病院病理診断科 山口佳子 家族性乳癌は乳癌の家族集積の著明な家系を言い、遺伝要因の関与が考えられ、現在までBRCA1とBRCA2の二つの原因遺伝子が同定されている。今回、姉妹での乳癌発症をきっかけにBRCA遺伝子検査を行い、BRCA2遺伝子に病的胚細胞変異を認めた家系を経験したので報告する。家系は2世代にわたり4名の乳癌患者と1名の前立腺癌患者が集積しており、4名のうち3名の乳癌患者を当科で手術したので、3症例の病理学的事項も報告する。当初、33歳の右乳癌(症例1)を手術した際の家族歴は、母方には癌はなく父方おばに乳癌が1名であり、家族性乳癌はあまり意識しなかった。数年後この乳癌患者(症例1)のいとこが右乳癌(症例2)になり、この時点で、父(症例1の父方おじ)に前立腺癌、父方おばに乳癌と乳癌集積家系の様相を呈してきた。同年、症例1の姉が右乳癌に(症例3)なり、遺伝子診断の説明と同意、遺伝カウンセリングののち、症例3のBRCA遺伝子検査を行った。BRCA2遺伝子3423del4の変異がありコドン1075が終止コドンとなる病的変異が確認された。症例1,2にも同様の変異が認められた。海外の報告によると、BRCA2遺伝子変異保因者では70歳までに乳癌に罹患するリスクは84%、卵巣癌は27%、男性乳癌は6%、前立腺癌は8%である。 ◆一般演題 『腹腔鏡下大腸亜全摘・直腸反転法による回腸嚢肛門管吻合術を 施行した家族性大腸腺腫症3例』 岩手医科大学外科 大塚幸喜 板橋哲也 藤澤健太郎 木村聡元 若林 剛 <目的>家族性大腸腺腫症3例に対し腹腔鏡下大腸亜全摘、直腸反転法による回腸嚢肛門管吻合術の手技と短期成績を報告する。<症例>症例は@30歳代、A、Bは20歳代でいずれも女性。@Aとも遺伝子診断でAPC遺伝子の変異を認めた(Bは検査結果未着であるがAの実妹)。術前はいずれもポリープが500個以上の密生型。<手術手技>トロッカーは計5本とし全結腸を遊離後、直腸は肛門挙筋まで完全に剥離授動。直腸S状部で一旦切離後、経肛門的に鉗子を挿入し直腸断端を把持・反転させ外科的肛門管口側縁をステープラで切離。右下腹部の小開腹創から全結腸を引き出し、回腸嚢を作成後DST吻合する。<結果>@ABの手術時間は283/386/312分、出血量17/5/35ml、在院日数30/18/13日。漏便はなく、排尿障害もない。<結語>本法は低侵襲性、機能温存性、整容性から患者のQOLを重視した術式である。 ◆一般演題 『HNPCCの一大家系』 東北大学加齢医学研究所癌化学療法研究分野、東北大学病院腫瘍内科 高橋雅信、添田大司、下平秀樹、石岡千加史 新たなHNPCCの一大家系について報告する。 発端者:63歳女性。52歳時に総胆管癌を発症した。遺伝相談目的で2008年12月当科初診。 家族歴:姉が35歳で子宮体癌、兄が30歳で直腸癌、娘が32歳で子宮体癌、父が53歳で腎孟癌など1家系に4世代にわたり9名のHNPCC関連癌発症者がいる。Amsterdam Criteria IIを満たすHNPCC家系と診断した。 遺伝子診断:東北大学倫理委員会の承認のもと、発端者の末梢血からgenomic DNAを採取し、MLH1、MSH2、MSH6遺伝子のシークエンス解析を行う方針とした。また胆管癌組織を用いて、MLH1、MSH2、MSH6、PMS2の免疫組織染色を行うこととした。免疫組織染色の結果を提示予定である。本邦においては比較的大きなHNPCC家系であり、ここに報告する。 ≪ 教育講演 ≫ 『家族性腫瘍診療における遺伝カウンセリングの意義』 お茶の水女子大学 大学院 特設設遺伝カウンセリングコース/ 木場公園クリニック 認定遺伝カウンセラー(米国、日本) 村智英子 先生 遺伝カウンセリングは、遺伝性疾患や先天異常に関わる相談業務である。そこでは主に、疾患の遺伝、関連する遺伝子、遺伝学的な検査などについて情報提供を実施するとともに、個人やその家族に対する心理社会的な視点も活かして話し合いを行う。 家族性腫瘍の診療において遺伝カウンセリングの機会を設ける意義としては、@遺伝や遺伝子に関する情報提供をわかりやすく時間をかけて行うことができる、A個々のがん患者だけでなく家系全体を把握した上で未発症者をも視野に入れたリスク・マネージメントにつなげられる、B個人や家族の病歴の適切な聴取により遺伝的にがん発症リスクの高い人を拾い上げることができる、C遺伝子検査の選択肢を利用するかどうか自律的に決断していただく過程の支援ができる、Dがんやその遺伝の可能性に関連した個人や家族の心理社会的状況を医学的情報と合わせて考慮しながら話し合いを展開できる、などがあげられるであろう。 家族性腫瘍診療における遺伝カウンセリング体制としては、独立した遺伝カウンセリング外来を設置するほか、普段の診療に遺伝カウンセリングのエッセンスを応用する、遺伝カウンセラーなどが家族歴の収集や診療科間のコーディネートにあたるといったあり方も考えられる。演者の日米における家族性腫瘍遺伝カウンセリングの経験を紹介しながら、我が国における今後の方向性を考えてみたい。 ≪特別講演≫ 『消化管病変の画像上の特徴について』 国立病院機構九州がんセンター院長 牛尾 恭輔 先生 消化管の家族性・遺伝性腫瘍は、大きくA.遺伝性消化管ポリポーシスとB.遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)に大別される。 そして、Aは(1)腺腫性ポリポーシス(@家族性大腸ポリポーシス、AGardner症候群、BTurcot症候群)と(2)過誤腫性ポリポーシス(@Peutz-Jeghers症候群、A若年性ポリポーシス、BCowden 病)に区分される。 これらの疾患は、消化器以外の臓器や器官に多彩な病変と随伴する重要な疾患である。今回、上記の疾患群について、消化管病変の画像上の特徴について述べる。 また、これらの疾患を含め10年前より5カ国語でインターネットにて発信している消化管医用画像データベースの現状と将来展望について報告する。 |