泌尿器科

当科の信条

患者さん主体の医療を実践することをスタッフ全員が信条としています。

  • 患者さんのお話をよく伺うこと
  • 治療の際には、十分な説明とご理解をいただくこと
  • 治療はできるだけ、短期間に、小さな傷で、苦痛を伴わないよう、おこなうこと

当科の特徴

短期入院の促進

患者さんの社会的、経済的および精神的な必要性、そして医療技術の向上により、日帰り手術、短期入院の風潮は高まっています。当科においても、可能な検査は外来で行い、入院期間の短縮に努めています。また低侵襲な術式の導入により、例えば尿失禁手術(TVT手術)は3〜4日、腎臓の腹腔鏡手術は7日など、できるだけ早期の社会復帰を目指しています。

患者さんの生活設計を重視して

良い医療の中身は、良い医療技術であることはもちろんのことですが、『患者さんのご希望やイメージにあった治療法』を選択することと考えております。例えば前立腺がんでは一般には「がんはとるもの」と単純に考えられがちですが、私たちの考えは違います。組織検査で軽微な変化のみであれば、経過観察も選択肢の一つとします。(あくまで現時点での治療は行わないことをご理解いただきます)治療に際しても、内服薬を中心に治療を開始し、一定期間ののち、前立腺組織の反応を観察します。その結果により、手術での摘除、放射線治療、内服薬の継続、治療中止などの選択肢を提示いたします。この方法が、できるだけ負担の少ない、かつ効果的な治療法を選択する上で、有用と考えているからです。 患者さんの個々の生活、考え方を重視し、要望にお答えすることが、大切な治療目標の一つであると確信しております。

泌尿器科の腹腔鏡手術について

近年の医学の進歩は目覚しく、最近の低侵襲(体への負担が少ない)手術の発展には目を見張るものがあります。特に泌尿器腹腔鏡手術は技術革新と術式の開発によって大きく発展し、低侵襲手術の代表として患者さんにも広く受け入れられ始めています。

技術が進む一方で、数年前、前腹腔鏡を用いた手術であってはならない事故がありました。泌尿器科学会では、2度とそのようなことのないように、そして、さらなる技術の向上を目指し、消化器外科、婦人科などとともに腹腔鏡の技術認定制度を開始しました。

当科では5年前より腹腔鏡手術を開始し、30例以上の腎手術を行っており、この技術認定(日本泌尿器科学会・日本Endourology・ESWL学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医)も取得しています。腎手術、副腎手術の分野を中心に、この術式を取り入れ、患者さんにより良い医療を安全に提供できるよう努力しております。

私たちは、実際にこの手術が患者様に有益かどうかを確認するため、術後経過の比較、患者さんへのアンケート調査を随時行っております。それらの結果から、従来の開腹手術に比べ、術後経過、患者さんのQOLとも非常に優れていることがわかりました。

単に、傷が小さいということではなく、操作が非常に繊細に、細い機械の先端だけで行われるため、必要最小限の剥離操作だけで目的の手術が行われます。結果として、組織のダメージが少なく、回復が早く、術後の癒着もおこりづらいのです。悪性疾患に対する根治性も開放手技と同等であることが報告されています。

私たちは腎、尿管腫瘍を中心に腹腔鏡手術を導入しています。術式は、腎臓を周囲組織と一塊として摘出する場合と、腫瘍の性質、大きさなどにより、腎の一部のみを切除する場合があります。患側の腎を残せることは、将来の腎機能の保持に有益と考えています。また、腫瘍の発生部位、大きさなどにより、腹腔から、後腹膜からとアプローチの仕方も変わります。

参考として、腎臓、尿管の腹腔鏡手術はいずれも7日から10日くらいのご入院を標準としています。腎摘出の場合は6cm程度の傷と1cm-5mmの傷が3箇所つきます。腎の部分切除の場合はすべて2cm以下の傷となります。