
乳腺外来
乳腺外来のご案内
当院外科の乳腺外来は月曜日から金曜日まで毎日、予約制で診療を行っています。担当医紹介と曜日別担当医は別項を参照ください。
主として乳がん・乳腺悪性腫瘍の診断と治療、乳がん検診2次検査(精密検査)、乳腺良性疾患などを扱います。
他施設ですでに乳がんと診断された症例の手術期治療(手術前後の検査、薬物治療)、乳がん疑いの症例の確定診断、自治体検診や会社検診の乳がん検診で要精密検査となった方の精密検査(2次検査)、
しこりなどの自覚症状のある方の診断が主たる診療範囲です。
診断では、問診や視診・触診に加え、マンモグラフィ(乳房専用X線撮影)、トモシンセシス(乳房断層撮影)、乳房超音波検査などを行っています。悪性が疑われる場合には、穿刺吸引細胞診や針生検などの検査を行い、マンモグラフィで確認される微細石灰化病変に対しては、MRIガイド下吸引組織生検装置を用いた検査にも対応しています。これらの検査を組み合わせ、乳がんの早期発見に努めています。
乳がん手術時の入院は原則として手術前日から9日間以内です。部分切除+センチネルリンパ節生検(手術の項、後述)の場合は5日間です。
当科は乳がんの急性期治療施設ですので、周術期の治療が終了し、落ち着いた患者さんに関しては、当院乳腺外科連携施設で経過を診るシステムを活用させていただいています。同様に、診断結果が良性病変であった患者さんの経過観察も連携施設で経過を診るシステムを活用します。
当院では、おおまちてらすのヘルスプロおおまちやたむら市民病院(2026年11月新病院稼働)の乳腺外来と連携し、マンモグラフィをはじめとする画像検査を診療に活用するとともに、乳がんの検診・診療に取り組んでいます。また、いわき市の呉羽総合病院乳腺外来も当院乳腺外科の専門医が担当しています。
なお、当法人の乳がん検診は、郡山市をはじめ県中地区の市町村健診、個人・企業検診などをおおまちてらす ヘルスプロおおまちで実施しています。
星総合病院乳がん検診成績(個人・企業検診)
マンモグラフィ
外来診察室
浸潤性乳管がん
手術療法
乳腺領域の手術は下記の�@�A�Bを進行度や患者希望によって組み合わせて行われます。
�@乳房の術式
A.乳房全摘術
悪性腫瘍の場合:薄層皮弁を基本とし乳房内の乳腺組織を完全に切除する。
- 乳房切除術(腫瘍直上皮膚と乳頭乳輪を含めて紡錘状に皮膚切開して乳房を全切除する術式)
B.乳房温存術
- 腫瘍摘出術(良性腫瘍や診断目的の生検などに用いる術式)
- 乳房部分切除術(原則限局したがん巣に用いる術式。浸潤がんの場合には腫瘍と断端までの距離を2cm以上確保する必要あり)
- 乳管腺葉区域切除(乳管内を広がる腫瘍や乳頭分泌物を伴う腫瘍の場合に乳管と乳頭を含めて切除する術式)
- 皮膚温存乳房全切除(乳頭・乳輪は切除するが乳房の腫瘤直上の皮膚は残す術式、再建を念頭に置いた術式)
- 乳頭乳輪温存乳房全切除(乳頭・乳輪および皮膚を温存して皮下の乳腺組織を全切除する術式、再建を念頭に置いた術式)
- 皮膚温存乳房全切除(乳頭・乳輪は切除するが乳房の腫瘤直上の皮膚は残す術式、再建を念頭に置いた術式)
- ラジオ波焼灼術(体表面から乳房内病変に対して画像ガイド下にラジオ波電極針を挿入し病変をラジオ波で焼灼する術式、適応と治療手順が厳格に決められており 詳細については当科まで問い合わせください)
�Aリンパ節の切除
転移がなければリンパ節は切除しない方針。リンパ節は免疫防御機構でもあるので、郭清することによる合併症を防ぐためになるべく郭清を避けるよう心がけています。
郭清リンパ節は腋窩から鎖骨下にかけて領域としてレベル�Tから�Vまで分けられています。
- 経過観察(画像臨床的に全く転移の可能性が低いと考えられる場合に定期的に画像および細胞評価をして変化があった場合に切除を考慮)
- センチネルリンパ節生検(ほぼ転移がないと考えられる症例の場合であるが、多少でも転移の可能性がある場合に入り口のリンパ節の転移の有無で奥のリンパ節転移を想定し郭清するかしないかを見極める方法)
- リンパ節サンプリング(何らかの理由でセンチネル法が使えない場合に、腋窩の数個のリンパ節を切除して転移の有無を確認する方法)
- リンパ節郭清(画像臨床的に転移の可能性が高い場合に腋窩のリンパ節をレベルIIまで郭清することが基本。ただしセンチネル陽性で腋窩郭清に移行する場合には、レベルIにとどめることもあり)
�B乳房再建術(形成外科が主体となって術式が決定・施行されます)
- 自家組織(患者本人の組織)を移植片として用いた再建術(当院形成外科では、行っていない)
- インプラント(人工物)を用いた再建術(インプラントの材料、手術時期・方法・費用など詳細は形成外科に問い合わせください)
組織生検方法
細胞診や画像臨床的に乳がんが疑われ病理学的な確認が必要な場合に、腫瘍に生検針を挿入して腫瘍組織を採取する方法です。目的の病変によっては以下の生検方法を使い分ける必要があります。出血や血種形成、疼痛、感染、施行時血圧低下などの合併症を伴うこともあるためこの検査の施行にあたっては小手術に準じた本人の同意確認が必要です。
�@太針生検法(CNB)
当院では、バネ式に針が飛び出す生検機器を用いて行っています。
皮膚に局所麻酔を打ち皮膚を切開し超音波で見える腫瘍に向かってその穿刺針を近づけバネ式に針を打ち込んで組織を採取します。
バネ式生検であるため腫瘤の向こう側に血管や骨などがある場合には、それらを損傷してしまうことがあるため慎重に施行する必要があります。
皮膚に局所麻酔を打ち皮膚を切開し超音波で見える腫瘍に向かってその穿刺針を近づけバネ式に針を打ち込んで組織を採取します。
バネ式生検であるため腫瘤の向こう側に血管や骨などがある場合には、それらを損傷してしまうことがあるため慎重に施行する必要があります。
�A超音波ガイド下吸引式組織生検法(US-VAB)
がんの診断確定のために組織採取量が多量に必要な場合やバネ式生検針が使えない場合などにこの方法を用いることがあります。
この方法は、超音波ガイド下に腫瘤の真下に生検針を挿入して、電気式に吸引圧をかけて組織を切り取るという方法です。
針を回転させて数方向から採取します。バネ式のように急に針が飛び出すというような危険性はありません。
またこの生検針は、1回で上記�@の約8倍量の組織が採取されると言われております。
この方法は、超音波ガイド下に腫瘤の真下に生検針を挿入して、電気式に吸引圧をかけて組織を切り取るという方法です。
針を回転させて数方向から採取します。バネ式のように急に針が飛び出すというような危険性はありません。
またこの生検針は、1回で上記�@の約8倍量の組織が採取されると言われております。
�Bマンモグラフィーガイド下吸引式組織生検法(ST-VAB)
超音波では捉えにくいがマンモグラフィーでなら捉えやすい石灰化病変などの生検に有用です。
マンモグラフィーを撮像するのとほぼ同じ体位で石灰化病変を立体撮影して位置を確定し、その位置に向けて生検針を挿入し石灰化領域に針が入ったところでこれも電気式の吸引圧をかけて組織を切り取るという方法です。
針を回転させながら数方向から採取します。この針も�Aと同様多量の組織が採取されるため診断には有用です。 県内では実施できる施設は限られています。当院は実施可能です。 マンモグラフィーのみで発見される早期の乳がんの診断に有用です。
マンモグラフィーを撮像するのとほぼ同じ体位で石灰化病変を立体撮影して位置を確定し、その位置に向けて生検針を挿入し石灰化領域に針が入ったところでこれも電気式の吸引圧をかけて組織を切り取るという方法です。
針を回転させながら数方向から採取します。この針も�Aと同様多量の組織が採取されるため診断には有用です。 県内では実施できる施設は限られています。当院は実施可能です。 マンモグラフィーのみで発見される早期の乳がんの診断に有用です。
薬物療法
乳がん薬物療法の基本
乳がんは、手術だけでなく「薬による治療(薬物療法)」がとても重要です。
特に、乳がんの性質(サブタイプ)によって効果のある薬が大きく異なるため、診断時に腫瘍の性質を詳しく調べ、それに合わせた治療を行います。
薬物療法は治療時期により術前(手術前)、術後(手術後)、再発・進行乳がんに大きく分けて行われます。
乳がんのサブタイプ分類
- ホルモン受容体陽性(ER/PR陽性)HER2陰性(ルミナル型)
最も多いタイプで、女性ホルモンに反応して腫瘍が大きくなる性質がある。 - HER2陽性乳がん
HER2というタンパク質が多く、進行しやすい一方、HER2を狙い撃ちする分子標的薬(トラスツズマブ、ペルツズマブなど)が非常に効果的。 - トリプルネガティブ乳がん(TNBC)
ホルモン受容体もHER2も陰性のタイプで、他のタイプと比べて抗がん剤治療が中心となる。
術前薬物療法
早期乳がんの薬物療法
手術前の治療(術前治療)では、腫瘍を小さくして乳房温存の可能性を高めたり、治療効果を見てその後の治療方針を決める目的で行います。
- ルミナル型:進行症例で抗がん剤の使用を考慮。
- HER2陽性:抗HER2薬(トラスツズマブ、ペルツズマブなど)と抗がん剤を併用。
- TNBC:抗がん剤に免疫療法(抗PD-L1抗体ペムブロリズマブ)が加わることがある。
治療後に腫瘍が消失したかどうかで、術後治療の方針が変わる。
術後薬物療法
術後の再発を防ぐために行う治療です。
- ルミナル型:がん細胞の増殖を抑えるホルモン療法(タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬)が中心。
再発リスクが高い場合には抗がん剤や、分子標的薬(CDK4/6阻害薬など)が加わることもある。 - HER2陽性:術後も抗HER2薬を術前から合わせて1年間継続する。
- TNBC:術前に治療をおこなった結果、効果が十分でない場合、カペシタビンなどを追加することがある。
再発・進行乳がんの薬物療法
再発乳がんでは、病気の進行を抑え、症状を軽くし、生活の質を保つことが治療の目的です。
サブタイプやこれまでの治療歴、体の状態に応じて薬が選ばれる。
- ルミナル型:ホルモン療法にCDK4/6阻害薬などを組み合わせ、できるだけ抗がん剤の使用を遅らせることがよく行われる。
- HER2陽性:複数のHER2標的薬があり、組み合わせを変えながら継続的に治療する。
抗体薬物複合体(ADC)と呼ばれる新しいタイプの薬も用いられる。 - TNBC:抗がん剤に加えて免疫療法やADCなどが選択肢となる。
外来化学療法室
当院ではがん薬物療法を実施する専用治療室(化学療法室)を備え、複数の診療科の患者さんに対するがん薬物療法を実施しています。
中でも、乳腺外科の患者数は最も多く年間約2,
000件を超え、全治療者の約半数を占めています。
乳がん薬物療法の目的は、�@再発の危険性を下げる、�A手術前にがんを小さくし乳房温存を目指す、�B術前薬物療法で薬の効き方を確認する、�C手術が困難な進行がんや再発に対して延命効果を得ることや症状を緩和すること、などでありステージ(病期)や再発のリスクなどに応じた治療が選択されています。
化学療法室には、がん専門の看護師や薬剤師が常駐しており、投与の安全に努めるとともに、化学療法中であっても可能な限り患者さんが望む日常生活が送れるよう副作用対策に力を入れています。
具体的には症状に対するケア指導や食事・生活のアドバイス、副作用の抑制を目的とした局所冷却法の実施などです。
また、脱毛によるアピアランスケアにも取り組んでおり、実施施設がごく限られる「頭皮冷却装置を使った脱毛抑制法」を希望する患者さんに提供しています。患者さんの思いに寄り添うことが当院化学療法室のモットーです。
化学療法(抗がん剤治療)脱毛防止のための頭皮冷却
乳がんの化学療法(抗がん剤治療)は効果の優れた治療法ですが、いろいろな副作用があります。
そのなかで女性が特に気にする外見上の副作用のひとつが脱毛です。
とくに乳がん治療で使われる抗がん剤は、どれも脱毛がほぼ必発です。その脱毛を防止するために、昔から頭皮を冷却することが試みられてきました。しかし、有効な低温で持続的に冷却することが難しいために、特殊な機器の開発が必要となりました。当科で導入している頭皮冷却装置は純国産で、その開発・臨床試験には当科も参加してきました。
脱毛を防止するには、毛根細胞を抗がん剤から保護するために頭皮を持続的に冷却することが必要ですが、冷やしすぎると頭痛などの副作用が出てしまうので温度管理も必要です。そのために冷却水を通す細い管を張り巡らした温度センサー付きのキャップを作成し、抗がん剤投与中もその前後も頭皮を冷却することで脱毛を大幅に軽減できる装置です(100%防止できるものではありません)。
このような装置はイギリス製のものも導入されていますが、当科のものは純国産で、キャップの形状大きさなど日本人に合わせて試作を繰り返し、低温に耐える柔軟性を備える材質を国内大学との共同研究で考案したものです。
臨床試験は当科を含め4施設で行い、その効果を確認しています(野水 整、上尾 裕昭、加藤 誠、福間 英祐:頭皮冷却装置RV21-01を用いた乳癌の薬物療法誘発性脱毛抑制に関する有効性と安全性について 出典: 癌と化学療法 2023;50(3):321-325)。当院の外来化学療法室で抗がん剤治療を受ける方は、ご希望に応じて有料でご利用いただけます。

写真:頭皮冷却装置セルガード
