
慢性疼痛センター
慢性疼痛センターのご案内
はじめに
誰もが体験したことがある痛みの症状は非常につらく不快なものです。
病気や怪我をした場合に伴う痛みは、早くよくなりたいと思う症状の一つであり、病院を受診する最大の理由の一つだと思います。
怪我や病気などにより急に現れた痛みは急性痛で、身体に対する有用な警告システムであり、傷や腫れが治るとともになくなります。
これに対し慢性痛は、3ヶ月以上継続する痛みで原因が特定できないことが多く、ほとんどが体にとって無益で、怪我や病気からの回復とは全く無関係のものです。
したがって、急性痛と慢性痛とでは患者さんにとって痛みの意味は大きく異なリます。
慢性痛の治療では、治療者側も治療を受ける側もどう対処してよいかがはっきりせず、非常に難渋することが多いのはそのためです。
運動器慢性痛について
運動器慢性痛は、器質的および心理的・社会的な要因が関与しあって、病態の悪化や痛みの増悪につながっていることが多いです。
器質的要因とは、神経、筋肉を含めた軟部組織や骨など運動器の各組織において病理的・解剖的な異常が生じたことにより引き起こされる疾患・疾病による要因のことです。
一方、心理的・社会的な要因とは、意欲、抑うつ度、健康や生活への不安、家族生活や学校・仕事場のストレスなど、年齢や環境、社会的立場まで考慮したストレス環境による要因のことです。
運動器慢性痛のメカニズムを理解するには、医療機関で診断されるような身体の器質的要因だけでなく、心理的・社会的要因も含めて考えなければなりません。
そのため、慢性痛の治療にあたっては、生物心理社会的に混在した複雑に絡み合っている病態を多面的に分析して治療を行う必要があります。
学際的・集学的痛み治療について
運動器慢性痛の治療に対し、欧米では1960年代から学際的・集学的痛みセンターが構築され、その有用性が確認されています。学際とは、複数の学問体系が同じ空間で一緒に働き、定期的かつ頻繁に患者の情報や治療方針について確認し治療を実践する形態と定義されております。
すなわち、学際的・集学的痛みセンターとは、視点の異なる複数科の立場の医師(整形外科、麻酔科、精神科など)、看護師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士、薬剤師、管理栄養士、およびソーシャルワーカーなどがチームとなり対応していく施設のことを意味します。
米国では、「他科連携・多職種連携という考え方に基づいて」というよりも、患者さんがいる場所(外来)に各科診療科医師や他職種の医療スタッフなどが当たり前にいて合議制で診療が進められているようです。
しかし、社会状況や医療制度の違いから、欧米のやり方をそのまま我が国に導入することはできません。
我が国ではこれまでの研究で、我が国の現状に即した学際的・集学的痛みセンターの在り方について検討し、学際的・集学的診療体制を整え、病態の評価ツールの開発や、チームによる分析と介入がなされています。
その結果、我が国でも学際的・集学的な医療が、痛みや生活障害、精神心理状態を改善させることが判明しました。国全体で見ると、慢性痛患者は非常に多く、社会的に大きな問題となっております。
従って、医療経済も含めた全体像の中で有益性が高く、効率のよい痛みセンターの開発が今後必要であると考えられているのです。しかしながら、我が国において、学際的・集学的痛みセンターといわれる施設は、全国でまだ20ヶ所程度存在するにすぎません。
福島県立医科大学医学部疼痛医学講座への寄附者である星総合病院に、慢性痛に対して多職種が関わって学際的・集学的痛み治療を行う慢性疼痛センターが平成27年4月に開設され稼働しております。
星総合病院慢性疼痛センターでの集学的痛み治療の診療チームは、整形外科、精神科、看護師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士、薬剤師、管理栄養士の6職種7専門家で構成されております。運動器慢性痛に対する学際的・集学的痛み治療を外来のみならず、必要に応じて集学的教育入院プログラムを活用していただき、痛みをよくするきっかけづくりにしていただく取り組みを実施しております。
担当医師(リニューアル中)
診療日
- 毎週水曜日午後、金曜日午後
お問い合わせ
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公益財団法人 星総合病院 慢性疼痛センター
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予約センター専用フリーダイヤル: 0120-33-4895
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