整形外科のご案内
私たちの毎日は「立つ」「歩く」「手を使う」といった何気ない動作で支えられています。
しかし、怪我や加齢によってその機能が損なわれると、日常生活の質(QOL)は大きく低下してしまいます。
当科では、お子様からご高齢の方まで、地域の皆様が一日でも長く健康で活動的な生活を送れるよう、最適な治療をご提案いたします。地域の基幹病院として、救急対応から、ロボット支援システムを用いた高度な人工関節手術、手術用顕微鏡を用いた微細な神経縫合を伴う手外科手術まで、専門スタッフがチームとなって皆様の「動ける喜び」をサポートいたします。
※ 運動器: 骨、関節、筋肉、靭帯、神経などが連携して体を動かす仕組み全体のこと。
対象とする症状・疾患
外傷(急な怪我): 骨折、脱臼、打撲、捻挫、切り傷、スポーツによる怪我など。
慢性疾患(長引く痛みやしびれ): 膝・肩・腰などの関節痛、手足のしびれ、関節リウマチ、骨粗鬆症など。
地域全体で支える「地域完結型医療」の推進
急性期治療の役割: 精密検査や手術、高度な専門治療が必要な時期は、当院が責任を持って集中的な治療を行います。
地域への逆紹介: 術後の経過が安定した患者様については、住み慣れた地域で継続的なケアが受けられるよう、お近くの「かかりつけ医」へご紹介させていただきます。
二人三脚のサポート: 定期的な専門的チェックは当院で行い、日常的な診療や投薬は地域のかかりつけ医が行う。この体制により、地域全体で患者様を一生涯見守り続けるサポート体制をとっています。
当院整形外科での治療の特色
代表的な外傷(骨折・脱臼)
特に力を入れているのが、高齢者の「大腿骨近位部骨折(だいたいこつきんいぶこっせつ※)」に対する早期手術体制です。
生命予後を見据えた早期手術: 高齢者にとって、脚の付け根の骨折は単なる怪我ではなく、寝たきりや合併症(肺炎や認知症の進行など)を引き起こし、生命予後に大きく関わる重大な疾患です。当科では、可能な限り入院から早期(原則48時間以内)に手術を行う体制を整えています。
身体機能の維持と回復: 早期に手術を行い、痛みを速やかに取り除くことで、手術翌日からの離床(ベッドから離れること)とリハビリテーションを可能にします。これにより、骨折前の歩行能力や身体機能を最大限に維持・回復させることを目指しています。
低侵襲手術の徹底: 高齢の患者様の体に負担をかけないよう、小さな切開で短時間に行う低侵襲(ていしんしゅう)な手術を心がけています。
関節リウマチ 〜正しく知り、自分らしい生活を取り戻すために〜
関節リウマチは、かつては「治らない病気」と言われていましたが、現在は早期発見と適切な治療によって、痛みのない「寛解(かんかい)」の状態を目指せる病気になりました。
当院では、患者様お一人おひとりの生活スタイルに合わせた治療を大切にしています。
関節リウマチとはどんな病気 ?
本来、外敵から体を守るはずの免疫システムが、自分自身の関節を誤って攻撃してしまう病気です。
関節の「滑膜(かつまく)」という部分に炎症が起こり、放っておくと関節の骨や軟骨が壊れてしまうこともあります。
しかし、現在は炎症を強力に抑えるお薬が登場し、関節の変形を未然に防ぐことが十分に可能です。
こんな症状はありませんか?(セルフチェック)
以下の症状がひとつでも当てはまり、数週間以上続く場合は、お早めにご相談ください。
- 朝のこわばり: 朝起きた時、手が開きにくい、動かしにくい(15分以上続く)。
- 関節の腫れ・痛み: 指の付け根や手首、足の指など、複数の関節が腫れて痛む。
- 左右対称の痛み: 右手も左手も同じように痛む。
当院の治療方針:目指すのは「寛解(かんかい)」
治療のゴールは、痛みをなくすことだけではありません。「関節の破壊を止め、今まで通りの生活を送ること」を目標にします。
- 薬物療法: 抗リウマチ薬を中心に、必要に応じて生物学的製剤やJAK阻害薬など、最新の選択肢をご提案します。
- 痛みのコントロール: 炎症を抑える治療と並行し、日々の痛みを和らげるケアを行います。
- 生活指導: 関節に負担をかけない動き方や、日常生活での工夫をアドバイスします。
- 機能再建手術: 薬物療法でも改善が困難な関節の変形や破壊に対しては、人工関節置換術や関節形成術を行い、痛みの除去と可動域の改善を図ります。
「年のせいかな?」と我慢しないでください
関節リウマチは30〜50代の女性に多い病気ですが、ご高齢の方や男性にも発症します。少しでも違和感があれば、まずは検査を受けて安心することから始めましょう。
膝(ひざ)関節の専門治療とスポーツ復帰支援
しかし、膝には歩行時に体重の約3倍、階段昇降時には約5〜7倍もの負荷がかかると言われており、加齢や怪我によって障害が起きやすい部位でもあります。 膝の痛みは「年だから仕方ない」と放置されがちですが、早期に適切な診断と治療を行うことで、将来的に自分の足で歩き続ける可能性を大きく広げることができます 。
代表的な膝の疾患
日本国内の有病率
日本国内における変形性膝関節症の患者数は、レントゲン診断による推定で約2,500万〜3,000万人、その中で痛みを自覚されるのは約800万人にのぼると報告されています。特に女性は男性の約4倍です。
なぜ「ひざ」が痛くなるのか
- 原因: 加齢、体重増加、筋力低下、過去の怪我などが重なり、軟骨が少しずつすり減ります。
- 炎症: 削れた軟骨の破片が滑膜を刺激し、炎症が起きて痛みや腫れが生じます。
- 変形: 進行すると骨同士が直接ぶつかり合うようになり、骨棘(骨のトゲ)ができたり、関節裂隙の狭小化(隙間がなくなる)が生じます。
進行のステップと症状
- 初期:動き出し(立ち上がり、歩き出し)の時だけ痛む。休むと痛みが消える。
- 中期:正座がつらい。階段の上り下りが痛む。ひざに水が溜まって腫れる。
- 末期:何もしなくても痛む。ひざが真っ直ぐ伸びず、歩行が困難になる。
当院の治療方針
「痛くなったら即手術」ではありません。当院では、できるだけご自身のひざを長持ちさせる治療を優先します。
- 運動療法:ひざを支える「太ももの筋肉」を鍛え、関節への負担を減らします。
- 生活習慣の改善:減量のアドバイスや、膝に優しい靴・インソールの提案を行います。
- 薬物療法:湿布や塗り薬、必要に応じてヒアルロン酸注射などで炎症と痛みを抑えます。
※保存療法で症状が安定しましたら近隣の整形外科での治療を継続していただきます。 - 手術療法:保存療法で改善が見られない場合、専門医による手術を検討します。
膝周囲骨切り術: 初期の変形性膝関節症に対し、ご自身の関節を温存したままO脚やX脚を矯正し、痛みを軽減させる手術です。変形の状態によって様々な骨切り術の方法があります。ご自身の関節を温存することで、術後もより自然な動きが回復しやすく、治療が完了すればスポーツや重労働が可能となります。入院期間は3〜4週間となります。
ロボット支援人工膝関節置換術: 高度な変形には、人工膝関節置換術(TKA)を行います。当院ではロボティックアーム支援システムMako(メイコー)を導入しております。0.5mm、0.5°単位の精度で人工関節を設置し、従来法と比べて侵襲が少なく、痛みや関節機能の早期回復をサポートします。変形の少ない方は、部分的に人工関節に置換する単顆型人工膝関節置換術(UKA)を行います。ロボット支援手術以外にも、ナビゲーションシステムを用いた手術も可能です。患者様の状態に合わせた治療を提供できるように心がけております。入院期間は2週間となります。
前十字靭帯(ACL)とは?
膝の関節の中にある4つの主要な靭帯の一つです。脛骨(すねの骨)が前にずれたり、ねじれたりするのを防ぐ役割を果たしています。 一度完全に切れてしまうと自然に治る(つながる)ことが難しい靭帯です。
損傷の原因と「その時」の症状
ラグビーやサッカーなどの接触プレーだけでなく、バスケットボールやバレーボールのジャンプの着地、急な方向転換、スキーでの転倒など、非接触の場面でも多く発生します。
- 受傷時: 「ブチッ」「バキッ」という断裂音(ポップ音)を感じることがあります。
- 直後: 激しい痛みとともに、膝がパンパンに腫れます(関節の中に血が溜まるため)。
- その後: 数週間で痛みは引きますが、階段や急な動きで膝が外れるような感覚(膝崩れ)が残ります。
放っておくとどうなるの?
痛みが引いても、靭帯が機能していない状態でスポーツや無理な動きを続けると、膝の中のクッションである「半月板」や「軟骨」に過度な負担がかかり、将来的に若くして「変形性膝関節症」を引き起こすリスクが高まります。
当院の治療方針
患者様が「どのレベルまでの活動を望むか」を軸に検討します。
- 保存療法: スポーツをあまりしない中高年の方や、部分損傷など、日常生活に支障がない場合に行います。装具(サポーター)の装着や筋力強化などのリハビリで関節の安定化を図ります。保存療法中に不安定感が強くなった場合は手術に移行します。
- 靭帯再建術: 若年者やスポーツ復帰を希望される方、仕事で膝を酷使する方は手術をお勧めします。 自家腱(ハムストリング腱や膝蓋腱)を移植して、新しい靭帯を作る手術です。関節鏡を用いて低侵襲に、解剖学的に再建することで関節の安定化を図ります。半月板損傷を合併している場合は同時に治療を行います。入院期間は約1週間となります。
復帰への道のり:リハビリテーション
手術はゴールではなく、スタートです。
- 術後〜3ヶ月: 膝の可動域を広げ、筋力を戻す基礎作り。
- 3ヶ月〜6ヶ月: ジョギングや軽いステップ練習の開始。
- 6ヶ月〜9ヶ月: 競技特性に合わせた練習を行い、専門医の評価を経て完全復帰。
半月板とは?
半月板は、膝の関節の間(大腿骨と脛骨の間)にある、三日月のような形をした軟骨に近い組織です。内側と外側に一つずつあります。衝撃の吸収や関節の安定化の働きがあります。半月板の機能が低下することで軟骨への接触圧が高くなり、将来的に「変形性膝関節症」へ進行するリスクが高まります。
なぜ損傷するのか?
半月板損傷には、大きく分けて2つの原因があります。
- スポーツ外傷(若年層に多い): サッカーやバスケットボールなど、ジャンプの着地や急な方向転換で膝が「ねじれた」時に起こります。前述の前十字靭帯損傷に合併することも多々あります。
- 加齢による変化(中高年層に多い): 長年の使用により、半月板が少しずつ脆(もろ)くなります。特に大きな怪我がなくても、立ち上がったり階段を昇ったりする日常の動作で損傷することがあります。
主な症状
- 膝の痛み: 膝の「内側」や「外側」の関節ラインに沿った痛み。
- 引っかかり感: 膝を曲げ伸ばしする時に、何かが挟まっているような感じがする。
- ロッキング: 半月板が嵌頓し、膝が急に動かなくなる状態。
当院の治療方針
- リハビリテーション: 膝周りの筋肉を鍛え、半月板への負担を減らします。
- ヒアルロン酸注射: 関節の滑りを良くし、痛みと炎症を抑えます。
- 装具療法: サポーターなどで膝を安定させます。
- 半月板縫合術・制動術: 可能な限り、自分の半月板を縫い合わせて残す方法です。入院期間は約1週間となります。
- 半月板切除術: 縫合が難しい場合に、傷んだ部分だけを取り除きます。入院期間は3〜4日間となります。
- 膝関節周囲骨切り術: 関節の変形を伴っている場合は、骨切り術を併用します(変形性膝関節の項目参照)。
「もう一度フィールドに立ちたい」その想いを支えます !
前十字靭帯損傷や半月板損傷は、適切な治療と根気強いリハビリで、以前と同じレベルのスポーツ復帰も可能なケガです。しかし、再受傷率が高いことも事実です。競技への復帰を目指す方には、再発予防を含めたトータルケアを提供します。
当院では手術後の安全な競技復帰のため、「ヘルスプロおおまち」のスポーツ外来と密に連携をとり、術後リハビリ期間終了後も、ご希望される場合には個別プログラムの提供も行なっております。
膝関節手術の代表的な合併症
- 感染症(頻度 1〜2%): 細菌が傷口に入ることです。手術室の衛生管理や抗生剤の投与で予防します。糖尿病や喫煙はリスクとなります。
- 血栓症(頻度 1〜5%): 足の血管に血の塊ができることです。足にできた血栓が肺に流れてしまうと急変のリスク(0.1%)があるため十分な予防を行います。ストッキングやポンプでの加圧、翌日からの早期リハビリで予防します。
- 関節の硬さ(拘縮): 術後の腫れなどで膝が固まることです。痛みを抑えながら、理学療法士が適切なリハビリを行い、柔軟性を回復させます。
- 神経・血管損傷(頻度 1%未満): 膝周囲の神経や血管のトラブルです。細心の注意を払って手術を行います。
- 骨癒合不全・プレートの違和感(骨切り術特有): 骨の治りが遅れる、またはプレートによる皮膚刺激症状です。喫煙は骨癒合に悪影響となります。癒合促進の超音波治療の使用や、骨癒合後の抜去術で対応します。
- 靭帯・半月板の再損傷(10〜20%): 術後の筋力の回復や体の使い方を習得することで再受傷を予防します。
代表的な手外科の疾患・マイクロサージャリー(顕微鏡下手術)
当科では手術用顕微鏡を用いた手術(マイクロサージャリー)にも注力しています。
慢性疾患・変形への対応
指は腱によって曲げ伸ばしをすることができ、腱は浮き上がりを押さえる靱帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)というトンネルの中を通っています。使いすぎなどが原因で腱と腱鞘の間に炎症が起きると、痛みを生じ、関節の動きが制限されます。
ばね指(弾発指、狭窄性腱鞘炎)
- どのような病気か: 指を曲げ伸ばしする際に、痛みや引っかかりを感じる疾患です。
- 主な症状: 指の付け根の痛み。朝方に指が伸びにくい、無理に伸ばそうとすると「カクッ」と弾ける弾発現象など。
- 原因: 手の使いすぎのほか、加齢、更年期や妊娠・出産期のホルモンバランスの変化、糖尿病などが背景にある場合もあります。
- 当院の治療: 安静、投薬やステロイド注射などの保存療法を優先します。難治例や再発例には、日帰り手術(腱鞘切開術)を検討します。
ド・ケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
- どのような病気か: 親指を広げたり動かしたりする際に、手首の親指側に強い痛みが生じる疾患です。
- 主な症状: 手首(親指側)の痛み。物をつかむ、重いものを持つ、タオルを絞るなどの動作で激痛が走ることがあります。
- 原因: スマートフォンの操作、パソコン作業、育児による赤ちゃんの抱っこ、仕事やスポーツなどによる母指の酷使など。
- 当院の治療: 投薬、安静(サポーターによる固定)や局所へのステロイド注射を行います。難治例や再発例には、日帰り手術(腱鞘切開術)を検討します。
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)
- どのような病気か: 手首にある「手根管」というトンネルで、正中神経(せいちゅうしんけい)が圧迫される疾患です。
- 主な症状: 親指から薬指の半分にかけてのしびれと痛み。特に明け方に症状が強く出るのが特徴です。手を振ると少し楽になることがあります。
- 進行すると: 親指の付け根の筋肉(母指球筋)が痩せてしまい、ボタン掛けや小銭を摘むといった動作(母指対立動作)が不自由になります(OKサインが作りにくくなります)。
- 当院の治療: 投薬、ステロイド注射を行います。難治例や再発例には日帰り手術(手根管開放術)を検討します。母指球筋の萎縮を伴う重症例には、母指対立機能を回復させるための「母指対立再建術(2泊3日の入院手術)」を検討します。
肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)
- どのような病気か: 肘の内側にある「肘部管」というトンネルで、尺骨神経(しゃっこつしんけい)が圧迫される疾患です。
- 主な症状: 小指と薬指の半分にかけてのしびれ。肘を曲げている時に症状が強くなる傾向があります。
- 進行すると: 指を閉じたり開いたりする筋肉(手内筋)が痩せてしまい、手の甲の骨が目立つようになります。箸が使いにくくなり、指が真っ直ぐ伸びない「鷲手(わして)」という変形が生じることもあります。
- 当院の治療: 徐々に進行することが多いため、基本的には手術治療を検討します(2泊3日の入院)。尺骨神経の圧迫を取り除く手術に加え、麻痺が進行している重症例では示指外転再建術や変形矯正手術を同時に行い、機能再建を図ります。
母指CM関節症(親指の付け根の変形と痛み)
- どのような病気か: 親指の付け根にある「CM関節」の軟骨がすり減り、炎症や変形が起きる疾患です。親指は手全体の機能において重要な役割を果たすため、生活の質が大きく低下します。
- 主な症状: ペットボトルの蓋を開ける、洗濯ばさみをつまむといった動作で痛みが生じます。進行すると親指の付け根が外側に突き出し、親指が開きにくくなります。
- 進行すると: 親指の付け根の筋肉(母指球筋)が痩せてしまい、ボタン掛けや小銭を摘むといった動作(母指対立動作)が不自由になります(OKサインが作りにくくなります)。
- 当院の治療: まずは保存治療を行い、症状の改善が乏しく日常生活に支障がある場合に手術療法を検討します。保存療法では、投薬、専用の装具による固定、関節内へのステロイド注射などを行います。手術療法では、進行度とライフスタイルに応じて、骨切り術、関節形成術、関節固定術の中から最適な術式を選択します。
ヘバーデン結節(指の第1関節の腫れと変形
- どのような病気か: 指の第1関節(指先に最も近い関節)の軟骨が摩耗し、関節が腫れたり曲がったりする疾患です。40代以降の女性に多く発症し、手指の変形の中で最も頻度が高い疾患です。
- 主な症状: 第1関節の腫れと痛み。指の甲側(爪の付け根付近)に「粘液嚢腫(ミューカスシスト)」と呼ばれる水ぶくれのようなこぶができることもあります。 進行すると: 関節の動きが悪くなり、指が横に曲がったり、完全に伸びなくなったりします。また、物をつまむ動作が困難になることもあります。 。
- 進行すると: 指を閉じたり開いたりする筋肉(手内筋)が痩せてしまい、手の甲の骨が目立つようになります。箸が使いにくくなり、指が真っ直ぐ伸びない「鷲手(わして)」という変形が生じることもあります。
- 当院の治療: 保存療法では、安静(テーピングによる固定)や投薬を行います。最近では、エクオールなどのサプリメントによるセルフケアのアドバイスも行っています。痛みが強く日常生活に支障がある場合や、粘液嚢腫が破れて感染の恐れがある場合には、手術療法を検討します。術式には、骨のトゲ(骨棘)を削る手術や、関節を固定して痛みを取り除く「関節固定術」があります。
手外科緊急疾患(マイクロサージャリー)
- 不慮の事故で切断された指に対し、マイクロサージェリー技術を駆使して血管を縫合し、血流を再開させる手術を行っています。
- 血管だけでなく、骨の固定や腱・神経の修復も同時に行うことで、指としての形態を整え、将来的な機能回復の両立を目指します。
- リハビリについて:手術後の機能回復には、作業療法士(OT)による専門的なハンドセラピーが不可欠です。当院では「つなぐだけではなく、使えるようにする」という視点で、医師とOTが連携し、仕事や日常生活への復帰をサポートします。
応急処置について
再接着の成否は保存状態に左右されます。
- 指の保護:切断された指を、湿らせた清潔なガーゼやハンカチで包む。
- 密封:包んだ指をビニール袋に入れ、口をしっかり縛って密封する。
- 冷却:その袋を、氷水を入れた別の容器に入れる(*指を直接氷や水に浸さないでください)。
- 包丁やガラスによる切り傷などで指の神経が切断されると、指先のしびれや感覚障害が残ります。
- マイクロサージェリーで神経を縫合することで、感覚の回復を目指します。神経の欠損が大きい場合、人工神経を用いた「神経再生誘導術」や自分自身の神経を移植する「神経移植術」により、神経を再建します。
- 指を動かす腱が損傷される場合もあります。腱は自然とつながることはないため、手術による縫合が必要です。
- リハビリについて:切断指と同様に、医師とOTが連携し仕事や日常生活への復帰をサポートします。
